1月31日~2月5日紙面

岡崎署管内犯罪発生状況 自転車盗多発

 県内における平成二十八年の刑法犯認知件数は、過去三十六年間で最も少ない七万二百五十六件(前年比六千四百七件減)を記録した。大幅に減少した一方で、十年連続全国ワーストという厳しい状況が続く中、昨年一年間の岡崎署管内(岡崎市、幸田町)での犯罪発生状況を振り返る。

 同署管内の刑法犯認知件数は、二千九百三十六件(同三十四件減)。減少傾向にはあるが、県全体と比べるとやや小幅な推移にとどまった。

 主な要因としては、近年減少傾向にあった自転車盗が六百三件(同百五件増)と多発。主に鉄道駅周辺やイオンモール岡崎などの駐輪場が狙われており、JR岡崎駅、名鉄東岡崎駅ではいずれも六十件以上だった。さらに前年は五件以下だったJR幸田駅、名鉄美合駅でそれぞれ十五件を超えるなど、一部で被害が急増した。

 同署生活安全課によると、防犯対策が不十分な無料駐輪場だけでなく、有料駐輪場でも被害が発生。被害に遭った自転車の約四割は、施錠されていたという。今後は自転車利用者への啓発だけでなく、駐輪場の管理者にも監視カメラの設置や警備員による巡回の頻度を増やすなど、防犯対策の強化を呼び掛ける。

 県内での昨年一年間の振り込め詐欺などの特殊詐欺被害認知件数は千五十八件(同百八十三件増)。手口としては、自治体や金融機関の職員をかたり、現金自動預払機(ATM)の操作に不慣れな高齢者を誘導して送金させる還付金詐欺が三百五十二件(同二百四十三件増)と多発した。

 同署管内の特殊詐欺被害は三十一件(同五件減)。被害金額は約一億五千万円に上る。昨年一月に七十代女性が名義貸しを名目に総額約六千五百万円をだまし取られる被害が発生したが、件数自体は減少した。

 還付金詐欺被害は六件(同七件減)と、県内の他地域に比べて数を減らした。背景には、管内に本社を置く岡崎信用金庫が十一月一日から全支店で一斉に開始した高齢者向けの振り込み限度額ゼロ円制度の存在などがある。過去三年以内にキャッシュカードでの振込みを行っていない七十歳以上の顧客を対象に振り込み限度額をゼロ円に設定し、ATMに不慣れな高齢者を狙った還付金詐欺被害の抑止に貢献した。

 効果を裏付けるように、管内では十二月に入ってから還付金詐欺に関する被害届けや相談が一件もなく、十一月中には被害を阻止した事例もあった。こうした効果が認められ、現在は県内の全信金が同制度を導入。県警は、残る地方銀行やメガバンクに対しても導入を呼び掛けている。

(3日1面)