8月12~16日紙面

岡崎と被災地結ぶ絆 福島・よさこい

 福島県平田村のよさこい踊りチーム 「絆」 が十二日、 岡崎市矢作北中学校で開かれた同市東大友町内会の盆踊りで、 「日本一の大きさ」 とされる旗を使ったよさこい踊りを披露した。 

 岡崎市を訪れたのはメンバーの男女六人のうち、 代表を務める古川俊信さん(25)ら踊り子の二人と、 「旗心隊」 と呼ばれる旗手一人。 四十三~四十八畳分の 「絆」 「福島」 と書かれた巨大な旗二本が豪快に空を舞う中、 創作曲 「うつくしま歌祈り」 と青森県の総踊り曲 「はるフェス」 で住民を魅了した。 

 チームは十二年前に結成。 東電福島第一原発から四十㌔南西に位置する平田村では、 東日本大震災の原発事故の影響で主力産業の農業にも風評被害が及んだという。 チームは震災を機に特注した巨大な旗を象徴として、 県内のよさこい踊り大会に出場している。 この旗を福島県外で振るのは初めて。 

 この日、 チームを招いたのは東大友町の会社員、 加藤敦也さん(48)が三年前に立ち上げた有志団体 「あいちから実行委員会」。震災後に被災地の道の駅などに通い始め、 復興を願うメッセージを届けたり、 被災地の特産物を愛知県内でPRしたりと、行き来している。 

  「友人、 知人がいない被災地の復興を支援するには 『きっかけ』 が必要だった」 と加藤さん。 被災につけ込んだ犯罪が横行し、 当初は初対面で懐疑的だった被災者も、 通ううちに打ち解けていった。 

 チームと出会ったのは、 道の駅 「ひらた」 で開かれたイベント 「復興記念祭」。 加藤さんは勇壮な踊りに魅せられ、 交流が始まった。 これまでは足を運ぶ一方だったが、 町内会の協力もあり、 盆踊りへの出演が実現した。 

 踊り終えた古川さんは 「幾度も福島を訪ねてくれた恩返しのつもりで全力を出しました」 と息を切らせ、 「見方を変えれば震災がなかったら、 このような機会はありませんでした。 これからも交流を大切にして、 次はチーム全員で岡崎を訪れたい」 と話していた。

(14日3面)