6月9~14日紙面

悠紀斎田お田植えまつり100周年

 大正天皇即位に当たって執り行われた大正四(一九一五)年の大嘗祭から岡崎市六ツ美地区に伝わる市の無形民俗文化財「六ツ美悠紀斎田お田植えまつり」が七日、市地域交流センター六ツ美分館(悠紀の里)で行われた。同地区の水田が大嘗祭の儀式に用いる新米を収穫する悠紀斎田に選ばれ、当時の「御田植祭」を伝承して百周年を迎えた今年は、秋篠宮ご夫妻がご臨席され、会場は例年以上の厳かな空気に包まれた。

 百周年記念の式典で、秋篠宮さまは「多くの皆様とともにお祝いできますことを大変うれしく思います。日本の稲作文化の保存と継承にもつながるとの思いから、悠紀斎田選定を誉れとする六ツ美地域の方々によって、このお田植え行事が大切に引き継がれ、百周年を迎えられたことを誠に喜ばしく思います。お田植えにまつわる歴史や文化が、人々の交流や地域のにぎわいに生かされていることは大変、意義深いことであると言えましょう。文化や地域の取り組みが次の世代に受け継がれていくことを願っています」と、お言葉を述べられた。

 この後、ご夫妻が見守られる中、お田植え唄やお田植え踊りに合わせて、早乙女二十四人が百年前に植えられた品種「萬歳」の苗を二百平方㍍の斎田に植える古式ゆかしい「お田植え」を披露した。

 お田植え踊りに参加した同市六ツ美南部小学校六年の三浦なつ美さんは式典後にご夫妻と懇談し、田植えの動作に由来する踊りの振り付けなどを紹介。三浦さんは「緊張したけど、間違えずに踊れて良かった」と胸をなで下ろし、「振り付けを説明したら、(紀子さまが)まねしてくれてうれしかった」と話していた。

 六ツ美悠紀斎田保存会は「百周年を終え、今後は例年のお田植えまつりの保存に加え、子どもを中心に市民への文化の伝承に力を入れていきたい」と決意を新たにしていた。

(9日1面)