7月15日~20日紙面

老舗味噌蔵で木桶新調

 岡崎市八帖町のまるや八丁味噌(浅井信太郎社長)が14日、八丁味噌作りに使用する木桶を新たに2本入荷した。

 同社では、現在も伝統製法での八丁味噌作りにこだわり、約200本の木桶に味噌を仕込んでいる。一方で、近年は八丁味噌作りに使う六尺桶を作る技術を持った職人の数が減っており、現在は堺市の藤井製桶所が全国で唯一、八丁味噌用の木桶を手掛けている。

 入荷した2本の桶は、それぞれ高さ2,3㍍、直径約2㍍、重さ1㌧ほどの吉野杉製。うち1本は、伝統的な木桶を残したいという浅井社長たっての願いを受け、板を押さえる“たが”に、近年主流となっている鉄ではなく昔ながらの真竹を使用。約17㍍もの長さの竹を必要とするため、専門の業者に依頼できず、桶師の上芝雄史さん自ら収穫し、現地で加工したという。

 新桶は、上芝さんが運転するトラックに揺られて、午前10時ごろにまるや八丁味噌に到着。浅井社長のほか社員・工場の従業員らから歓迎を受けた。

 荷台から木桶を積み下ろした後は、桶を横倒しにした状態で底面に筆入れを実施。浅井社長が日付と社名、自身の名前を書き、続いて上芝さんも名前を記した。最後は、立ち会った全員が八丁味噌の味噌汁で乾杯。新たな木桶の入荷を喜んだ。

 浅井社長は「伝統ある竹たがを使った新桶をこうして目の当たりにできたのは、率直に言ってうれしい。この木桶を使った八丁味噌作りが、今後50年、100年先も変わらずに受け継がれていくことを願っている」と話した。

(15日1面)